法人設立は小規模事業者にとって大きな一歩となります。
小規模法人であるマイクロ法人は、個人事業主よりも税制面や資金調達面で優れた側面がありますが、一方で手続きや経理業務の負担も存在します。
このブログでは、マイクロ法人の概要、設立や維持にかかる費用、メリット・デメリットを詳しく解説しています。事業の形態を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
1. マイクロ法人の概要と特徴
マイクロ法人とは、注目を集めている新しい会社の形態の一つです。
日本の会社法では明確な定義がされていませんが、従業員を雇用せずに代表者が自身で事業を運営する会社を指します。一般的には代表者が一人で事業を運営し、家族が経営に参加することもあります。
このような形態の会社はプライベートカンパニーとも呼ばれています。
マイクロ法人は株式会社や合同会社、合名会社など、異なる形態で設立することができます。それぞれの形態によって事業運営の柔軟性が生まれます。また、代表者が一人で経営するため、意思決定が迅速かつスムーズに行えるのが特徴です。
さらに、従業員を雇わないため、事業運営コストを抑えることができます。一般的な会社に比べて税理士費用も低く抑えることができます。
また、マイクロ法人は規模が小さく、リスクを迅速かつ容易に管理できる利点もあります。事業主は自身のビジョンに基づいてビジネスを運営し、柔軟な事業運営が可能です。経営者の判断により事業の方向性を調整することも容易です。マイクロ法人を運営する際には、税理士のサポートを受けることをおすすめします。
税理士のアドバイスにより、事業の安定性と効率が向上します。
マイクロ法人は、事業主が自身のビジョンや目標に基づいた小規模な事業展開に適した法人形態です。効率的かつ柔軟な事業運営を目指すために重要な要素となります。
2. マイクロ法人の設立費用
マイクロ法人を設立するためには、いくつかの費用がかかります。以下に、具体的な費用とその詳細を説明します。
2.1 登録免許税
- 株式会社の場合:最低15万円
- 合同会社の場合:最低6万円
マイクロ法人設立には、まず登録免許税が必要です。株式会社の場合、最低でも15万円がかかります。
合同会社の場合は最低で6万円です。ただし、これは一般的な金額であり、具体的な金額は異なる場合があります。
2.2 定款作成代
- 紙定款の場合:収入印紙40,000円
- 電子定款の場合:収入印紙代は不要
設立に必要な重要な文書である定款の作成代には、収入印紙代がかかります。
紙定款の場合は40,000円の収入印紙が必要ですが、電子定款の場合は収入印紙代は不要です。ただし、電子定款を作成するには、電子署名ソフト・プラグインが必要です。
2.3 定款認証手数料
- 株式会社の場合:最低3万円
- 合同会社の場合:手数料は不要
定款の認証には手数料が発生します。株式会社の場合、最低で3万円の手数料がかかります。一方、合同会社の場合は手数料は不要です。
2.4 各種証明書取得費用
- 個人の印鑑証明書:200円~
- 会社の履歴事項証明書:480円~
- 会社の印鑑証明書:390円~
設立後に必要な証明書の取得にも費用がかかります。
個人の印鑑証明書は最低でも200円から、会社の履歴事項証明書は最低480円から、会社の印鑑証明書は最低390円からの費用がかかります。
2.5 その他必要なもの
マイクロ法人の設立には、以下のものも必要です。
- PCかスマホ
- 各種事務用品(切手・ホチキス・封筒など)
- CD ROM・光学リーダー
- プリンタ(コンビニのプリンタで代用可)
- 法務局等に出向く交通費
なお、オンラインでの交付申請の場合、事務用品やCD ROMは不要です。
2.6 会社設立代行サービス
マイクロ法人の設立手続きを代行してもらう場合、数万円から数十万円の費用がかかります。
2.7 会社印鑑
銀行口座開設などで必要になるため、法人用に印鑑を作成することをおすすめします。
以上が、マイクロ法人の設立費用についての詳細です。注意点として、実際の手続き時には金額の変動がある場合がありますので、具体的な費用については確認が必要です。
また、自分で手続きを行うか、代行サービスを利用するかを検討し、費用を抑えることも重要です。
3. マイクロ法人の年間維持費
マイクロ法人を運営するには、設立費用に加えて年間の維持費がかかります。
このセクションでは、1年目と2年目以降の維持費について詳しく説明します。
3.1. 自力で行う場合の維持費
自力で決算を行う場合の維持費は次の通りです。
- 設立と1年目:173,000円
- 2年目以降:116,760円
この金額には、設立費用、会計ソフト代、法人税申告費用、法人県民税、法人市民税などが含まれています。
自分で決算を行う場合は、会計に関する知識やスキルが必要ですが、比較的低い費用で運営することができます。
3.2. 税理士に依頼する場合の維持費
税理士に会計を完全に任せる場合の維持費は次の通りです。
- 設立と1年目:439,600円
- 2年目以降:370,000円
これには、設立費用、会計ソフト代、税理士依頼費用、法人県民税、法人市民税などが含まれています。
税理士に会計を任せることで手間を省くことができますが、その分費用がかかります。
自分で基本的な業務を行い、決算や法人税申告を税理士に依頼する場合は、年間10〜15万円程度で済ませることができます。一方、日々の記帳から全てを税理士に任せる場合は、年間30〜50万円程度の費用がかかります。
3.3. マイクロ法人の年間維持費に含まれない費用
上記の維持費には、マイクロ法人の運営に必要な費用が含まれていますが、以下の費用は含まれていません。
- 実際の事業の経費
- 社会保険料
- 自分への役員報酬
- 資本金
これらの費用は、個人事業主としても必要な費用であり、マイクロ法人を運営する際にのみ発生するものではありません。
マイクロ法人を設立する際には、年間維持費だけでなく、実際の事業の経費や社会保険料なども考慮に入れる必要があります。
次の節では、マイクロ法人を運営するためにどのくらいの所得が必要なのかについて詳しく説明します。
4. マイクロ法人のメリットとデメリット
マイクロ法人は、設立や運営には様々なメリットとデメリットがあります。以下にそれぞれの要点をまとめました。
マイクロ法人のメリット
- 税金優遇措置
- マイクロ法人は、特定の条件を満たすことで法人税や所得税の減免、軽減税率の適用などの税金上の優遇措置を受けることができます。
- 資金調達の容易さ
- マイクロ法人は、株式や出資を通じて資金を調達することができます。これにより、事業の拡大や新たな投資の実施が可能となります。
- 信頼性と信用力の向上
- マイクロ法人として法人格を持つことで、個人事業主よりも信頼性や信用力が高まります。取引先や顧客からの信頼を得やすくなり、ビジネスチャンスの拡大につながります。
- 継続性の確保
- マイクロ法人は、個人の逝去などによっても存続が可能です。これにより、事業の継続性を確保することができます。
マイクロ法人のデメリット
- 複雑な経理作業
- マイクロ法人は、法人として事業を運営するため、個人事業主と比べて税務や会計の手続きが複雑になります。書類作成や専門知識が必要となり、経理作業に負担がかかることがあります。
- 設立費用と維持費用の発生
- マイクロ法人を設立する際には、設立費用が発生します。また、法人住民税や社会保険料、税理士費用などの維持費用も必要です。経費を計画し、適切に資金を確保する必要があります。
- 手続きが難しい
- マイクロ法人は、個人と法人の両方の手続きを行う必要があります。特に法人の確定申告は複雑であり、専門知識や税理士の支援が必要となることがあります。
これらのメリットとデメリットを総合的に考慮し、マイクロ法人の設立を検討する際には、専門家のアドバイスを受けながら、事業の規模や収益性に合わせた最適な経営方針を選択することが重要です。
5. マイクロ法人に適した事業
マイクロ法人を経営するためには、適した事業を選択することが重要です。
以下に、マイクロ法人に適した事業の一部を紹介します。
5.1 コンサルティング事業
コンサルティング事業では、自身の専門知識を活かして企業や個人にアドバイスを提供することができます。
マーケティング、経営、IT、人事など、さまざまな分野に特化することができます。
5.2 オンライン販売
インターネットを活用したオンライン販売は、在庫を持たずに販売が可能です。
ドロップシッピングや特定のニッチ市場をターゲットにした販売ができるため、低い仕入れコストと個人のスキルを活かした販売戦略がポイントです。
5.3 オンライン関連事業
SNSやオンラインプラットフォームを活用したビジネスもマイクロ法人に適しています。
アフィリエイター、ブロガー、YouTuber、TikToker、Instagrammerなどは、個人のスキルや情報発信力を活かして収益を得ることができます。
5.4 クリエイティブ事業
デザイン、ライティング、写真撮影、動画制作などのクリエイティブなスキルを活かしたサービスを提供することもおすすめです。
個人の才能やセンスを活かして独自のサービスを提供することができます。
5.5 IT・ソフトウェア開発
IT技術を駆使したウェブサイトやアプリケーションの開発、システムのカスタマイズなどのサービスもマイクロ法人に適しています。
小規模で柔軟な対応が可能であり、高い専門性が求められます。
5.6 サービス業
特定のスキルを活かしたサービス業もマイクロ法人に適しています。
マッサージや整体、フードデリバリーサービス、ナレーターや通訳などは、個人のスキルや経験に基づいたサービス提供ができるため、需要があります。
5.7 専門家サービス
法律、会計、税務などの専門的な知識が求められるサービスもマイクロ法人に向いています。
個別に顧客に対応することができ、高い専門性が求められます。
5.8 イベントの企画・運営
企業イベントやセミナー、ワークショップなどの企画・運営を行う事業もマイクロ法人に適しています。
特定の分野やテーマに特化することで、差別化を図ることができます。
5.9 不動産管理・運営
小規模ながらも不動産の管理や賃貸業務を行うことができます。
特に収益不動産の管理は需要があります。不動産に関する知識と経験が求められます。
5.10 フランチャイズ事業
既存のビジネスモデルを活用して確立された事業を展開することができます。フランチャイズ加盟店として契約を結ぶことで、成功確率を高めることができます。
これらの事業や業種は、マイクロ法人の特徴である小規模で運営可能であり、自身の専門知識や経験、市場のニーズに合わせて選択することができます。
また、税理士のサポートを受けることで、会計面や税務面での支援を受けることも重要です。適切な事業を選択し、成功への一歩を踏み出しましょう。
まとめ
マイクロ法人は、個人の創業意欲を後押しする魅力的な法人形態です。少額の設立費用と柔軟な運営体制から、自身のビジョンに基づいた事業展開が可能です。
適切な事業を選択し、専門家のサポートを得ながら、効率的で収益性の高い経営を実現することができます。
初期投資や維持費用を抑えつつ、会社の信頼性を高められるマイクロ法人は、これからの時代に適したビジネスモデルだと言えるでしょう。